「○○斎場はこちらでいいですか?」と、仕事場へ向かう私に話しかけてきた初老の男性。
「今私も向かう所ですので、ここをまっすぐに行くと右手にあります、もうすぐそこです」と、斎場までを一緒に歩きました。
私のすごい荷物を見て「おひとつ持ちましょう」と重たいほうのかばんに手をさしだしてくれます。
「いえいえ、とんでもない。重たいですし、もうすぐそこですから」と辞退したら「なに、私だってまだまだ元気で、力もありますよ」と笑いながら、かばんを持ってくれました。
「最近は、混んでいるんだねぇ。もう6日間も待たされて冷蔵庫の中にいるんですよ」と語るダンディーなおじいちゃま。
「そうなんですか、6日間は寂しいでしょうが、霊安室に安置されているなら安心ですよ」と私。
自分の仕事の話もしました。
まさか、私が入る葬家?と思いましたが、違う葬家でした。 親戚の女性が亡くなってお式に参列するのだとか。
斎場について、それぞれの式場に足を運び、お別れしましたが、なんとなく気になって仕事が終わった後に、名前を探してその方の参列する式場まで行ってみました。
準備中の祭壇には若い女性の写真が飾られています。
ほんの数分一緒に歩いただけではあるけれど、一期一会、人の縁って素敵ですよね。
式場の外で合掌をして斎場を後にしました。
敦子