“2012年3月”の記事一覧

最高に美しい死に顔

いろんな事が原因でなくなられる方たち 死に顔は様々

私たちは、穏やかで綺麗な顔を遺族の最期の思い出にして欲しいと願い仕事をこなしています。 

 癌で亡くなられる方は、闘病生活でやせこけて元気だった頃の面影を失っている方が多いです。
それゆえに私のようなものが呼ばれるのですが。
激変してしまった顔をみて、遺族や対面に来た方々は気の毒で辛くてたまらないだろうと思います。
最期の顔は確かに別人みたいかもしれない、
しかし、病気と一所懸命戦い、苦しい治療も受け、愛するものたちのために生きようと頑張った故人の
生きてきた証。

いつの頃からか、その顔や姿がとても愛しく美しいとかんじるようになりました。
病のために命を失ってしまったけれど、決して負けたわけではない。
頑張りましたね、立派です、見事です、恥ずべきお姿ではありません。
まるでがいこつに皮がくっついたような痩せたお顔でも、崇高で美しい死に顔に思えるのです。

 
それでも、元気だった頃に近づけるよう、ご遺族にお話を聞きながら、ふっくらした顔に戻していきます。
 「やっとお父さんになった」
「入院する前の顔になったね」 など喜びの声が聞かれ、それはとても嬉しいこと。
故人の、やせた別人のような顔は忘れられるでしょう。
けど、忘れないで。
まんまの死に顔も、最高に美しかったのだと。

敦子

ただ、ただ、ありがとう

故人90歳のおじいちゃま
廊下がボーリングのレーンかと思ったほどの大きな豪邸にお住まい。
お気に入りの洋服に着替えて、式までご自宅で眠ります。
ひまごさんが折った折り紙を顔の周りに飾ってくれました。
ご遺族の湯灌のしぐさに、いかにみんなに慕われて大切にされていたのが伝わってきて、こちらの気持ちも暖かくなります。
高齢だけどとても品のある奥様が、ご主人の顔や胸に優しく触れながら「ありがとう、私のことは心配しないでね」と何度もささやいていました。

通夜当日、式場に飾られたパネル写真には、奥様と写ったたくさんの写真が。
二人ともとても幸せそうな顔をしています。
「ありがとう、ただ、ただ、ありがとう」という大きな文字のメッセージが目を引きました。
私も、こんな風に遺された人たちに「ありがとう」と言われながら送られてみたいなと思ったりして。
いまの自分って、周りをちゃんと大事にしてるかな?
感謝されるような生き方をしているだろうか?
と考えると、ダメだぁバッド(下向き矢印)反省がく~(落胆した顔)

恐竜好きな息子にせがまれて、購入した絵本
 「きみはほんとうにステキだね」

表紙のイラストから、面白おかしい本だと勝手に勘違い。
読みきかせをしていて「やばい、この内容はやばいふらふら」と気がつくもすでに遅し、ラストのページで声がうわずり涙をこらえるのが精一杯になっちゃいました。
息子も、下を向いてしまっています・・・どうやら泣いてるのを隠している模様。
たかが絵本、されど絵本、最近は感動する内容の絵本がたくさんで、読み聞かせの場合は下読みしとかないといかんわと、これまた反省したのでした。

 

敦子

旅立つ妻へ

私の妻は、明るい性格で、いつも前向きな思考をする女性です。
結婚してからは、私をずっと支えてくれました。
子供たちにとっては、厳しいながらもしっかりとした母親として立派に子育てをしておりました。
子供たちが大きくなってからは、友達と旅行に行ったり、カラオケを楽しんだり、そしてボランティア活動も熱心にしていました。
友達も多く、近所の人たちからもとても慕われていた女性です。
大好きな花を育てては、毎年綺麗な花を咲かせてました。
このたび病が悪化し、頑張りましたが、そちらの世界へといくことになりました。
長年連れ添った妻は、素晴らしい女性であります。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
 
先に旅立った奥様へ、金婚式を数年前に祝ったご主人が棺に入れたお手紙です。
最初は奥様への手紙だと思っていました。
納棺の準備をしながら、目を通させていただいて、心が暖かくなりました。
金婚式のパーティーで着たというお洋服に着替え、微笑んでいるようなお顔の奥様に、何度も話しかけていたご主人。
きっと奥様は無事に旅を終え、極楽浄土にたどりつくことでしょう。
 ご主人の推薦状もありますしね。
 
敦子

一期一会

「○○斎場はこちらでいいですか?」と、仕事場へ向かう私に話しかけてきた初老の男性。
「今私も向かう所ですので、ここをまっすぐに行くと右手にあります、もうすぐそこです」と、斎場までを一緒に歩きました。

私のすごい荷物を見て「おひとつ持ちましょう」と重たいほうのかばんに手をさしだしてくれます。
「いえいえ、とんでもない。重たいですし、もうすぐそこですから」と辞退したら「なに、私だってまだまだ元気で、力もありますよ」と笑いながら、かばんを持ってくれました。

 
「最近は、混んでいるんだねぇ。もう6日間も待たされて冷蔵庫の中にいるんですよ」と語るダンディーなおじいちゃま。
「そうなんですか、6日間は寂しいでしょうが、霊安室に安置されているなら安心ですよ」と私。
自分の仕事の話もしました。

まさか、私が入る葬家?と思いましたが、違う葬家でした。 親戚の女性が亡くなってお式に参列するのだとか。
斎場について、それぞれの式場に足を運び、お別れしましたが、なんとなく気になって仕事が終わった後に、名前を探してその方の参列する式場まで行ってみました。
準備中の祭壇には若い女性の写真が飾られています。
ほんの数分一緒に歩いただけではあるけれど、一期一会、人の縁って素敵ですよね。
式場の外で合掌をして斎場を後にしました。

 

敦子

 

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